断熱性能が低い家の特徴とデメリット
次に、断熱性の低い家の特徴とそれによってもたらされるデメリットを見ていきましょう。
光熱費が高額になりやすい
断熱性能の低い家では、外気温の影響を受けやすいため、快適な室温を保ちにくくなります。そのため、冷暖房の稼働に大きなエネルギーを要することになるのです。
冷暖房効率が悪いことから電気代やガス代が高額になりやすいでしょう。国土交通省の提唱する断熱性・気密性・日射遮蔽に優れた一般的な省エネ住宅と比較した場合、低断熱の住宅では、温暖地域における光熱費が年間で6万円ほど高くなるといわれています。加えて、断熱性が低い場合に比べ、ZEH基準相当の高度な省エネ住宅なら抑えられる光熱費が年間12万円以上になるとされているのです。なおZEHとは、再生可能エネルギーなどの利用で、年間の一次エネルギー消費量がゼロ以下になる住宅のことです。
参考元:経済産業省|住宅による省エネ
参考元:国土交通省|なるほど省エネ住宅
参考元:経済産業省 資源エネルギー庁|ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>>>参考コラム:八尾市での一戸建ての維持費はどのくらい?注文住宅に住んだ場合の光熱費や税金などを徹底解説
熱中症のリスクが高まる
住宅の断熱性能が低いと、夏場に熱中症の危険性が高まります。野外だけでなく、実は室内でも多く発生している熱中症。2023年の6~9月に東京消防庁管内に搬送された熱中症患者における救急要請発生場所は、「住居等居住場所」が最多で全体の約4割を占めました。
断熱性能の低い家は、外気温の影響で室内の温度が非常に高くなる恐れがあり、熱中症のリスクが高まるのです。環境省は「熱中症 環境保健マニュアル2022」内で、熱中症を防ぐために、自宅の断熱性の確認・改善を提唱しています。
参考元:東京消防庁|熱中症に注意
参考元:環境省|熱中症 環境保健マニュアル2022
ヒートショックの危険性が懸念される
加えて低断熱の家で懸念されるのは、冬場の「ヒートショック」のリスクです。冬は、暖房を使用している場所と使用していないところとの温度差が大きくなります。そのため、血管や心臓の疾患を発症するヒートショックのリスクが高まるのです。ヒートショックは、気温の変化により血圧が乱高下することが原因とされています。暖かいリビングと冷え込んだ廊下や浴室など、10℃以上の寒暖差がある場所が、より危険視されているのです。
健康寿命の短縮に伴い医療費が増額する
スマートウェルネス住宅等推進調査委員会によれば、室温の低い住まいでは、高血圧や動脈硬化、循環器疾患の他、過活動膀胱や睡眠障害のリスクが高まるとされています。断熱性能の低さは病気の発症につながりかねません。高断熱の住宅は健康状態の改善に関連するとの発表が、WHOからもなされました。
また、体調を崩すことで通院や入院に伴い医療費が発生します。
断熱性の低さは、健康被害だけでなく、医療費の増額といったリスクも秘めているといえるでしょう。参考元:スマートウェルネス住宅等推進調査委員会|住宅の断熱化と居住者の健康への影響 に関する全国調査 第6回報告会
住宅の断熱性を高める方法
コスト面や健康面のリスクを避けるために、是非高めておきたい住宅の断熱性能。断熱性を高めるには、以下の方法などが挙げられます。
・壁や床の空洞部分に断熱材を敷き詰める「充填断熱工法」
・家全体を断熱材で包む「外張り断熱工法」
・樹脂サッシや木製サッシの利用
・断熱ガラス窓の採用まずは壁や屋根、床に断熱材を使用して躯体の断熱性を高めることが基本です。加えて、熱伝導率の低いサッシや窓の採用によって高断熱化を図ります。
なお、特に日差しの強い夏場には、断熱に加え、日射を遮って室内に入り込まないようにする「日射遮蔽」も有効です。断熱窓と併せてブラインドや庇(ひさし)などの工夫で対策を講じましょう。
大阪府八尾市の気候と断熱性の関係
ここからは、八尾市の気候に注目して、家づくりでの断熱性能の必要性を解説します。
八尾市の気候
瀬戸内気候に属している八尾市は、年間降水量が1,300mm前後と比較的少なめで、年間平均気温はおよそ17℃と温暖な地域です。
ここで、気象庁による2023年の観測データを基に、八尾市における月ごとの平均気温を見てみましょう。